実際に街頭でベビーカーを使用している人を観察した後、ベビーカー売り場に出向き、
機能性をAWARENESS ANATOMY(R)の観点から確かめてみました。
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国産・輸入物のベビーカーの第一印象ですが、
輸入物の方が使いやすい、と感じるのです。
では、それが何故使いやすいのか?を解説していきましょう。
引くノコギリを使う日本人、
押すノコギリを使う欧米人
この身体意識の差がベビーカーにも表れているのです。
つまり、身体の前側と腕の内側(力こぶの出来る側)を
自分に集めるように(引く様に)使う日本人と、
身体の背面から腕を押し出して使う欧米人との身体に対する意識の差が、
製品の差になっています。
日本製のベビーカーの多くは、水平の一本バーを両手で握るスタイルを取りますが、
これは身体のメカニズムから言えば、押す事より、
引く事に向いているスタイルになる訳で、
このまま押し続ける事は、無用な拮抗が生まれ易く、特に背中の弱い日本人には、
姿勢や歩行に悪影響が出て、疲れやすくなります。
一方、輸入物の多くは、グリップが左右独立しています。
そのグリップは、背中から押しやすく出来ており、歩行に適した構造となっています。
また、脚とベビーカーの後輪の距離も十分に確保されているので、
脚先が後輪にぶつかりにくくなっています。
製品は、制作者の感覚を表したものです。どうも、日本製のベビーカーは、
機械的には優れているのですが、使用する側の人間の感覚差に対応する理解は
乏しいと思われます。
その証拠に、欧米から入ってきて、まだまだ日本人が使いきれていない商品が
沢山存在しているのです。
日本製のベビーカーでも、欧米のスタイルを真似た、
左右独立したグリップの形状の物もありましたが、
実際に使用してみると、これが不思議な事に押し難いグリップになっており、
結局は握りしめて身体の前側を使う事になってしまうのです。
たかがグリップですが、シルエットが同じでも、実際に触ると押すと引くの違いが
表れていたのです。
最後に、先日公園でアメリカ人の男性が日本製のベビーカーを使用しているのを
目にする機会がありました。
そのアメリカ人男性は、水平の一本バーを握るのではなく、指先を下に向け
手のひらで押しているではありませんか!
彼らには、押す意識が基本なのだな、と思わされる瞬間でした。
平山昌弘 拝